H31(前)保育の心理学【2019】

【過去問解説】平成31年(前期) 保育士試験〈保育の心理学〉問6〈2019〉ピアジェの発達段階説

【過去問解説】平成31年(前期) 保育士試験〈保育の心理学〉問6〈2019〉ピアジェの発達段階説

平成31年前期 保育士試験 保育の心理学 問5の解説です。

問6は、ピアジェ(Piaget, J.)による感覚運動期に関する記述で、【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の内容を結びつけた場合の最も適切な組み合わせを一つ選ぶ問題です。

それでは、問題を解いていきましょう。その前に、問題文をお手元にご用意ください。

問題文は全国保育士養成協議会のホームページで無料公開されています。
こちら(全国保育士養成協議会サイト)から閲覧、ダウンロードできます。

「スタディ」では、このブログや動画を見ながら、お持ちのテキスト本に赤線を入れる、コメントを足す、付箋を貼るなどして、自分の使いやすいオリジナル本を作っていくことをおすすめします。ここでは、福祉教科書「保育士完全合格テキスト2022」を用いています。

問6の解き方

ピアジェの発生的認識論を知らないと、解きにくい問題です。

感覚運動期は、さらに6つに分類され、第一次循環は自分の体に関係した反応、第二次循環は外への働きかけで、第三次循環は様々な手段を実験的に試してみることです。

正解は2です。

なお、アは対象の永続性の理解を示しているので第4期、オは原始反応なので第1期にあたります。

用語を確認しておきましょう。

ピアジェの発達理論「発生的認識論」とは

ピアジェは、発生的認識論として、子どもの思考の発達段階を5つに分けました。赤ちゃんが、周りの様々な刺激や情報を取り入れ成長していく過程で、どのようにそれを整理して取り入れていくのか、段階として示したものです。思考発達段階説ともいいます。

<発生的認識論>

  • 感覚運動的段階(出生から1歳半又は2歳まで)
  • (前操作期)象徴的思考段階(1歳半又は2歳から4歳まで)
  • (前操作期)直観的思考段階(4歳から7、8歳まで)
  • 具体的操作段階(7、8歳から11、12歳まで)
  • 形式的操作段階(11、12歳以降)

ピアジェは感覚運動的段階をさらに6つに分けています。(「保育タイムズ」を参照)

  • 第1期(生後1か月位まで):赤ちゃんは、生まれながらに持っている原始反射を使って、外界に無意識に働きかけています。この反射活動をシェマといいます。シェマとは、思考の枠組み、概念のようなものです。
  • 第2期(1~4か月):2つ以上のシェマの協応が見られるようになります。例えば、見て掴むです。このようにシェマとシェマと組み合わせて新しいシェマを作り認知を広げていきます。感覚的にたまたま行ったことを、もう一度やろうと繰り返し行うのもこの時期で、自分の身体だけに関係した反応のことを第一次循環反応といいます。
  • 第3期(4~9か月):自分の存在に気付いた赤ちゃんは、外の対象物に興味を持ちます。外の物に繰り返し働きかける反応のことを第二次循環反応といいます。例えば、ガラガラをたまたま掴んで振り、音が鳴ったことで、また鳴らそうと手を振る動作を繰り返すというような反応のことをいいます。
  • 第4期(9~12か月):動作がさらに複雑になり、シェマを組み合わせることが出来るようになります。 また、対象の永続性が成立し、隠したものが存在し続けることに気がつき始めます。
  • 第5期(12~18か月) :目的を達成するために、様々な手段を試してみる実験的な活動を行う、第3次循環反応が形成されます。例えば積み木を叩き合わせて音を鳴らした後、柔らかい物を叩き合わせて音を鳴らして違いを感じるなど、動作が違うと結果が違うことを段々に理解していきます。 
  • 第6期(18か月から2歳):頭で考える表象機能が成立します。ピアジェは、この表象機能の成立を、感覚運動期の知能の完成と考えました。

ピアジェの発生的認識論 については、こちらのブログ(保育タイムズ)に詳しく書かれています。

「保育士テキスト2022 (上)」P179をチェックして、マーカーを引いたりコメントを加えておきましょう。

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