平成31年前期 保育士試験 社会福祉 問16の解説です。
問16は人権の擁護に関する問題で、記述の正誤を問われています。
記述A~Dをみていきましょう。
問題文は全国保育士養成協議会のホームページで無料公開されています。
こちら(全国保育士養成協議会サイト)から閲覧、ダウンロードできます。
「スタディ」では、このブログや動画を見ながら、お持ちのテキスト本に赤線を入れる、コメントを足す、付箋を貼るなどして、自分の使いやすいオリジナル本を作っていくことをおすすめします。ここでは、福祉教科書「保育士完全合格テキスト2022」を用いています。
Contents
問16-Aの解き方
記述Aでは、児童福祉施設の職員による入所児童に対する虐待の禁止が問われています。
記述で問われている法律について、確認しましょう。
児童虐待の防止等に関する法律
児童虐待の防止等に関する法律、通称児童虐待防止法とは、「児童への虐待を禁止し、虐待を受けた児童を早期に発見・保護して、自立を支援するための法律。児童の虐待事件多発を背景に、超党派の議員立法によって2000(平成12)年成立。保護者だけでなく、保護者以外の同居人による暴行も虐待と認めた。また、虐待の予防、被害児童の保護、自立支援に関する国および地方公共団体の責務と連携の強化も定められた。」とあります。(コトバンクより)
児童虐待の防止等に関する法律の第3条をみると、 誰もが児童虐待をしてはならないと規定し、児童虐待の定義が規定されています。
(児童に対する虐待の禁止)第三条 何人も、児童に対し、虐待をしてはならない。
このように児童虐防止法では、あらゆる人の児童虐待全般を禁止しており、児童福祉施設の職員について具体的な記載はありません。
2009年の改正児童福祉法もみておきましょう。
2009(平成21)年の改正児童福祉法
2009(平成21)年、児童福祉施設内での虐待の防止などを盛り込んだ「改正児童福祉法」が施行されました。施設内虐待防止法ともよばれます。
施設長、施設職員、一時保護所の職員、小規模住居型養育事業(仮称)を行なう者及び里親等が行う暴行、わいせつな行為、ネグレクトおよび心理的外傷を与える行為等を被措置児童等虐待と位置づけられました。間接的ではありませすが、施設職員の虐待を禁止しているとも読み取れます。
よって、記述Aは間違い「×」。しかし、児童防止虐待法の対象には施設の職員も含まれるので、△のような気もします。
詳しくは、これらの資料をご参照ください。
http://www.zenyokyo.gr.jp/comm/no200.pdf
http://gyakutai.yogo-shisetsu.info/speech/20081215hiroshima-speech.pdf
問16-Bの解き方
記述Bでは、障害児入所施設の職員による入所児童に対する虐待の禁止が問われています。
記述で問われている法律について、確認しましょう。
障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律
通称、2012(平成24)年に施行された障害者虐待防止法です。
何人も障害者を虐待してはならない旨の規定がされています。しかし、施設職員の虐待に限定しているわけではありません。
よって、記述Bは、間違い「×」です。しかしこれもA同様に「△」のように思われます。
問16-C・Dの解き方
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律は、通称を配偶者暴力防止法といい、2009(平成13)年に成立しました。
配偶者からの暴力(身体的のみならず、精神的、性的なものも含む)に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備し、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図ることを目的とする法律です。被害者が男性の場合もこの法律の対象となります。
配偶者暴力相談センターや警察署で相談を受けています。
配偶者暴力相談センターは、婦人相談所、男女共同参画センター、福祉事務所などが配偶者暴力相談支援センターの機能を担う施設とされてます。(一覧はこちら)
婦人相談所は、売春防止法第34条に基づき、各都道府県に必ず1つ設置されています。元々は売春を行うおそれのある女子の相談、指導、一時保護等を行う施設でしたが、婦人保護事業の中で女性に関する様々な相談に応じています。
よって、記述C、Dは、間違い「×」です。
正解とまとめ
ここまでみたように、
A:×(▲)
B:×(▲)
C:×
D:×
C、Dの×は確定なので、選択肢は絞られて、3または5。
もし、AとBの▲を〇とみなすなら、A、Bはともに〇となります。
しかし、3も5も、ABが〇〇ではありません。
よって、ABは××となり、正解は選択肢5です。
「保育士テキスト2022 (上)」P36「障害者虐待防止法」、P38「婦人相談所」、P102「配偶者暴力防止法」「児童虐待防止法」をチェックして、蛍光ペンなどでマークしておましょう。不足している情報は、付箋に書いて貼っておくことも忘れずに!