平成31年前期 保育士試験 社会福祉 問12の解説です。
問12は社会福祉のケースの発見に関する問題で、記述の正誤を問われています。
記述A~Dをみていきましょう。
問題文は全国保育士養成協議会のホームページで無料公開されています。
こちら(全国保育士養成協議会サイト)から閲覧、ダウンロードできます。
「スタディ」では、このブログや動画を見ながら、お持ちのテキスト本に赤線を入れる、コメントを足す、付箋を貼るなどして、自分の使いやすいオリジナル本を作っていくことをおすすめします。ここでは、福祉教科書「保育士完全合格テキスト2022」を用いています。
Contents
ケースワークとは
ケースワークとは、ソーシャルワーク(社会福祉の相談援助)における専門的方法・技術の一つです。
社会福祉機関や施設において、社会環境との間でなんらかの調整を必要とする問題を抱えた人に直接に関わり、その問題を解決できるように援助する過程で用いられる技法です。
グループワークもソーシャルワークの技法のひとつですが、グループワークが複数の人を対象にするのに対して、ケースワークは相談者と社会福祉に関わる専門員が1:1で行います。
保育士においても、子どもの人間関係の調整、保護者に対する保育相談、保育支援といったソーシャルワークを行いますので、ケースワークやグループワークの技術が求められます。
民生委員・児童委員とは
民生委員・児童委員とは、地域の推薦会で任命され、国から委任されたボランティアです。3年間行います。民生委員法によって定められています。
- 民生委員は、厚生労働大臣から委嘱され、それぞれの地域において、常に住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行い、社会福祉の増進に努める方々であり、「児童委員」を兼ねています。
- 児童委員は、地域の子どもたちが元気に安心して暮らせるように、子どもたちを見守り、子育ての不安や妊娠中の心配ごとなどの相談・支援等を行います。また、一部の児童委員は児童に関することを専門的に担当する「主任児童委員」の指名を受けています。
民生・児童委員の活動例
- 訪問活動 担当地域を戸別訪問して、安全安心に生活できているか確認する。
- サロン活動 子育てサロン、いきいきサロンなど、地域の仲間を作る場所を運営する。
- 登下校時のあいさつ活動 子どもたちの登下校を見守る。
- 災害対策活動 災害福祉マップの作成に協力したり、避難訓練などを行う。
民生委員制度の歴史
- 1917(大正 6)年に岡山県で誕生した「済世(さいせい)顧問制度」で発足
- 1918(大正 7)年に大阪府で「方面(ほうめん)委員制度」が発足
- 1928(昭和 3)年には方面委員制度が全国に普及
- 1946(昭和 21)年、民生委員令の公布により名称が現在の「民生委員」に改定
詳しくは、厚生労働省のHPをご覧ください。
問12の解き方 ケースの発見
それでは、AからDの記述をみていきましょう。
Aには、「個々の民生委員・児童委員の役割は、ケースの発見に関して、市町村全域を対象に戸別訪問を行うことである。」とあります。
民生・児童委員が戸別訪問するのは、発見のためではなく、確認のためです。
よって、Aは間違い「×」です。
Bには、「潜在的なニーズが多くある場合、相談援助者はケースの発見に積極的にならなければならない」とありますが、これはその通りですね。よって正解「〇」です。
Cには、「専門職同士が連携し、地域の中でネットワークを構築することは、ケースの発見に結びつく。」とあります。その通りなので、正解「〇」。
Dには、「ボランティア団体が運営する居場所づくりの拠点において、そこに参加する地域住民の見守りをすることは、ケースの発見に結びつく。」とありますが、その通りです。よって正解「〇」です。
正解とまとめ
まとめると、
A:×
B:〇
C:〇
D:〇
よって、正解は選択肢4です。
「保育士テキスト2022 (上)」P52,P57~59「個別援助技術ケースワーク」をチェックして、蛍光ペンなどでマークしておましょう。不足している情報は、付箋に書いて貼っておくことも忘れずに!