平成31年前期 保育士試験 社会福祉の問9の解説です。
問9は日本の社会保障制度に関する問題で、記述の正誤を問われています。
記述A~Dをみていきましょう。
問題文は全国保育士養成協議会のホームページで無料公開されています。
こちら(全国保育士養成協議会サイト)から閲覧、ダウンロードできます。
「スタディ」では、このブログや動画を見ながら、お持ちのテキスト本に赤線を入れる、コメントを足す、付箋を貼るなどして、自分の使いやすいオリジナル本を作っていくことをおすすめします。ここでは、福祉教科書「保育士完全合格テキスト2022」を用いています。
Contents
問9-Aの解き方 1950年の「社会保障制度に関する勧告」
記述Aは、1950(昭和 25)年の「社会保障制度に関する勧告」に関する質問です。
記述Aには、「1950(昭和 25)年の「社会保障制度に関する勧告」が出されて以降、わが国の社会保険制度は大きく発展した。」と書かれています。
社会保障という言葉は、昭和21年公布(翌年施行)されたの憲法第25条にて用いられました。
憲法第25条
1.すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2.国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
その後、昭和25年の 「社会保障制度に関する勧告」 で初めて具体的に定義されました。
社会保障制度とは、「疾病、負傷、分娩、廃疾〔=現在では、「障害」です〕、死亡、老齢、失業、多子その他困窮の原因に対し、保険的方法又は直接公の負担において経済保障の途を講じ、生活困窮に陥った者に対しては、国家扶助によって最低限度の生活を保障するとともに、公衆衛生及び社会福祉の向上を図り、もって全ての国民が文化的社会の成員たるに値する生活を営むことができるようにすること」をいう。
この時点では、弱者に対する生活保護が柱でしたが、その後、昭和36年には、すべての国民が公的な医療保険制度や年金制度に加入する「国民皆保険・皆年金」が実現しました。つまり、貧困からの脱出から、安定した生活が社会保障の中心になっていったのです。
よって、Aは正解「〇」です。
「保育士テキスト2022 (上)」P10に1950(昭和 25)年の「社会保障制度に関する勧告」を書いておきましょう。
問9-Bの解き方 日本の社会保障の目的
記述Bは、「日本の社会保障の目的」に関する問いです。
Bでは、「「広く国民に安定した生活を保障するもの」から、近年、「生活の最低限度の保障」へと変わってきた。」と書いてありますが、逆ですね。
よってBは、間違い「×」です。
詳しくは、厚労省資料をご覧ください。
問9-Cの解き方 社会保障制度の機能
記述Cは「日本の社会保障制度の機能」に関する問いです。
社会保障の機能としては、主として、①生活安定・向上機 能、②所得再分配機能、③経済安定機能の3つが挙げられます。
- 「生活安定・向上機能」生活の安定を図り、安心をもたらす。例:医療保険、老齢年金、介護保険
- 「所得再分配機能」所得を個人や世帯の間で移転させることにより、国民の生活の安定を図る。例:生活保護制度
- 「経済安定機能」景気変動を緩和し、経済成長を支えていく。 例:雇用保険
選択肢Cをみると、「①生活安定・向上機能、②所得再分配機能、③経済安定機能の3つがあげられる。」とあります。
よってCは、正解「〇」です。
詳しくは、厚労省資料をご覧ください。
問9-Dの解き方 社会保障制度の国民負担率
記述Dは「社会保障制度の国民負担率」に関する問いです。
記述Dをみると、「財務省の 2017(平成 29)年2月の国民負担率の公表によると、わが国の社会保障制度の国民負担率(社会保障負担と租税負担の合計額の国民所得比)は、1970(昭和 45)年度から 2015(平成 27)年度への 45 年間で、約 1.8 倍となっている。」とあります。
厚生労働省の資料によると、
社会保障にかかる負担の推移について、国民負担率(社会保障負担と租税負担の合計額の国民所得比)の概念を用いて見ていくこととする。
我が国の国民負担率は、1970(昭和 45)年度の 24.3%から 2015(平成 27)年度の42.8%へと 45年間で約 1.8倍となっている。
とあります。
よって、Dは正解「〇」です。
正解とまとめ
ここまで見たように、
- A:〇
- B:×
- C:〇
- D:〇
となります。答えは選択肢3です。