平成31年前期 保育士試験 家庭福祉 問17の解説です。
問17は、「児童相談所運営指針」(平成 30 年3月 30 日 厚生労働省)における非行少年及び触法少年の対応に関する記述で、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを選ぶ問題です。
それでは、問題を解いていきましょう。その前に、問題文をお手元にご用意ください。
問題文は全国保育士養成協議会のホームページで無料公開されています。
こちら(全国保育士養成協議会サイト)から閲覧、ダウンロードできます。
「スタディ」では、このブログや動画を見ながら、お持ちのテキスト本に赤線を入れる、コメントを足す、付箋を貼るなどして、自分の使いやすいオリジナル本を作っていくことをおすすめします。ここでは、福祉教科書「保育士完全合格テキスト2022」を用いています。
問17の解き方
Bの「子どもが非行問題を有する場合には、里親委託は行わず、児童自立支援施設等の施設入所の措置をとらなければならない。」が間違いであることを知っていれば解きやすい問題でした。
Bが間違いの結果、選択肢は3と4に絞られます。
Cの「警察署における委託一時保護は、原則として 24 時間を超えることができない。」は正しいです。
よって、正解は3です。
AからDをみていきましょう。
触法少年とは
14歳未満の少年が犯罪に該当する行為を行った場合、触法少年事件と呼ばれ、その少年のことは触法少年と呼ばれます。
刑法では、14歳未満の者について刑事責任能力をないものとし、罰しないとしています。
以下の少年は家庭裁判所の審判に付託されます。
- 犯罪少年 罪を犯した14歳~20歳未満の少年
- 触法少年 犯罪に触れる行為をした満14歳未満の少年
- 虞犯少年 将来罪を犯す可能性のある少年
少年法では、触法少年について、警察官の調査の結果、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」、「死刑又は無期若しくは短期2年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪」に触れると考えられるときや、「家庭裁判所の審判に付することが適当であると思料するとき」に、児童相談所長に事件を送致しなければならないとされています。
そして、この児童相談所への通告や送致がなされると、そこから、触法少年に対してどのような処遇がなされるのか決定されます。
具体的には、訓戒を与えたり、児童自立支援施設等に入所させたり、家庭裁判所に送致して審判を受けたりという処遇が挙げられます。
児童相談所運営指針の109ページ「家庭裁判所送致」によると、
「平成 19 年の少年法改正により、児童相談所は、触法少年に係る重大事件につき警察から送致された場合には、事件を原則として家庭裁判所に送致しなければらないこととされた。ただし、 個々の事案によっては、少年の年齢や心身の発達の程度等に照らし、家庭裁判所の審判を経るまでもない場合もあると考えられることから、児童相談所長等が送致を受けた事件を調査した結果、家庭裁判所送致の措置をとる必要がないと認める場合は、この原則が適用されないこととされた。」
里親とは
里親とは、親の病気や離婚などさまざまな事情によって家庭で暮らせなくなった子どもたちを、自分の家庭に迎え入れ愛情をもって養育することです。「里親制度」は児童福祉法によって定められており、都道府県知事(児童相談所)が、「里親」として登録されている方に子どもの養育をお願いします。
里親の種類
○養育里親
家庭で暮らせない子どもを、自分の家庭で養育する里親です。養育期間については子どもの事情によってさまざまです。
○専門里親
養育里親のうち、児童虐待などの行為により心身に有害な影響を受けた子ども、非行問題や障がいのある子どものうち、特に支援が必要な子どもを2年以内の期間を定めて養育する里親です。
○親族里親
両親など子どもを養育する人が死亡または行方不明などになった場合に、その子どもを養育する扶養義務者(きょうだい、祖父母、曾祖父母)などの里親です。
※伯父母、叔父母は該当になりません。
○養子縁組里親
養子縁組を前提として、子どもを養育する里親です。
少年の委託一時保護
昭和47年の「警察が行う児童の一時保護」によると、
「警察署における一時保護は原則として 24 時間を超えることができない。交通その他真にやむを得ない事情がある場合には、この時間を延長することができるが、この場合においても、できる限り早期に一時保護所において保護するよう努める。」
児童相談所における一時保護の期間は2ヶ月ですが、警察署においては原則24時間までです。
児童相談所から家庭裁判所送致ケース
「保育士テキスト2022 (上)」P143をチェックして、蛍光ペンなどでマークしておましょう。