平成31年前期 保育士試験 社会福祉の問5の解説です。
問5は「国民年金制度」に関する問題で、記述の正誤を問われています。
記述AからDをみていきましょう。
問題文は全国保育士養成協議会のホームページで無料公開されています。
こちら(全国保育士養成協議会サイト)から閲覧、ダウンロードできます。
「スタディ」では、このブログや動画を見ながら、お持ちのテキスト本に赤線を入れる、コメントを足す、付箋を貼るなどして、自分の使いやすいオリジナル本を作っていくことをおすすめします。ここでは、福祉教科書「保育士完全合格テキスト2022」を用いています。
Contents
問5-A の解き方
Aは、国民年金の「保険料の支払い期間」に関する質問です。
国民年金は、その社会保障制度のひとつとして、すべての国民を対象として、老齢・障害・死亡に関して必要な給付を行い、健全な国民生活の維持・向上に寄与し、国民の生活を支えています。
国民年金の保険料は、最低でも20歳から60歳になるまでの40年間(480ヵ月)にわたって納付することとされています。480カ月分支払うと満額を受け取れるしくみです。
未払い期間がある場合、満額から未払い月数分が差し引かれた金額しか受け取れないことになります。
しかし記述Aでは、「保険料の支払い期間は、20 歳から 70 歳未満である。(任意加入被保険者を除く)」とあります。
よって、Aは間違い「×」です。
国民年金の3つのグループ
国民年金に加入しなければならない人は、日本国内に住所のある20歳以上60歳未満の人たちです。その加入者は次の3つのグループに分けられます。
問5-Bの解き方
Bは、「学生納付特例制度」に関する問いです。
20歳以上の学生も国民年金に加入することになっています。しかし、学生は通常無収入であり、保険料の拠出が親の負担に頼る結果となっています。
このことから、本人が一定所得以下の学生等については、申請することによって、保険料を猶予できる「学生納付特例制度」があります。
しかし、記述Bには、「学生納付特例制度によって、在学期間の納付が免除される。」とあります。
免除ではなく猶予なので、Bは間違い「×」です。
問5-Cの解き方
Cは「遺族基礎年金」に関する問いです。
遺族基礎年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が、亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が、遺族基礎年金を受け取ることができます。
しかし、記述Cには、「遺族基礎年金は、子どもの有無に関わらずに支給される。」とあります。
よって、Cは間違い「×」です。
遺族年金の概要
遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が、亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金です。
遺族年金には、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があり、亡くなられた方の年金の加入状況などによって、いずれかまたは両方の年金が支給されます。
遺族年金について詳しくはこちらをご覧ください。
問5-Dの解き方
Dは「障害年金」に関する問いです。
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。
障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」があり、病気やけがで初めて医師の診療を受けたときに国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。
国民年金に加入している間、または20歳前(年金制度に加入していない期間)、もしくは60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間で日本に住んでいる間)に、初診日(障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)のある病気やけがで、法令により定められた障害等級表(1級・2級)による障害の状態にあるときは障害基礎年金が支給されます。
記述Dには、「障害者が障害年金を受給するためには、原則として事前の保険料拠出を必要とするが、国民年金に加入する 20 歳前に障害を持った場合はこの限りではない。」とあります。
よって、Dは正解「〇」です。
正解とまとめ
ここまで見たように、
- A ×
- B ×
- C ×
- D 〇
なので、正解は選択肢5です。
公的年金制度とは
日本の公的年金制度は、20歳から60歳未満の人が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員・公務員が加入する厚生年金の2階建てになっています。
会社員・公務員の人は、2つの年金制度に加入していることになります。
「保育士テキスト2022 (上)」P45「所得保障制度」の公的年金制度をチェックして、蛍光ペンなどでマークしておましょう。不足している情報は、付箋に書いて貼っておくことも忘れずに!