平成31年前期 保育士試験 社会福祉の問2の解説です。
問2は子育て世帯の支援の施策に関する記述の問題で、記述の正誤を問われています。
記述AからDをみていきましょう。
問題文は全国保育士養成協議会のホームページで無料公開されています。
こちら(全国保育士養成協議会サイト)から閲覧、ダウンロードできます。
「スタディ」では、このブログや動画を見ながら、お持ちのテキスト本に赤線を入れる、コメントを足す、付箋を貼るなどして、自分の使いやすいオリジナル本を作っていくことをおすすめします。ここでは、福祉教科書「保育士完全合格テキスト2022」を用いています。
このブログと連動した動画もご活用ください。
Contents
問2-A の解き方
Aは、「ファミリー・サポート・センター事業」に関する質問です。
「ファミリー・サポート・センター事業」は、乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の労働者や主婦等を会員(依頼会員)として、児童の預かりの援助を受けることを希望する者(提供会員)と当該援助を行うことを希望する者との相互援助活動に関する連絡、調整(マッチング)を行うものです。
提供会員には報酬(謝礼金)が設定されています。
しかし、Aには、「ファミリー・サポート・センターのサービス提供会員は、子育てを支援するボランティアであり、報酬を受け取らない。」とあります。」
「 ボランティアであり、報酬を受け取らない。 」の部分が間違い「×」です。
ファミリー・サポート・センター事業のポイント
ファミリーサポートセンターの運営は市区町村、または市区町村から委託を受けた法人が行います。
サポート活動の例には、
・保育施設等までの送迎を行う。
・保育施設の開始前や終了後又は学校の放課後、
子どもを預かる。
・保護者の病気や急用等の場合に子どもを預かる。
・冠婚葬祭や他の子どもの学校行事の際、子どもを預かる。
・買い物等外出の際、子どもを預かる。
・病児・病後児の預かり、早朝・夜間等の緊急預かり対応(病児・緊急対応強化事業、平成21年度よりスタート)
などがあります。
自治体ごとに金額は異なりますが、依頼会員には利用料がかかり、提供会員は報酬が受けられます。
平成27年度(2015年)より、 「子ども・子育て支援新制度」において、「地域子ども・子育て支援事業」の1つに位置づけられ、「子ども・子育て支援交付金」にて実施しています。
令和元年(2019年)から、3歳~5歳までの子どもたちの幼稚園、保育所、認定こども園などを利用料を無償としましたが、ファミリーサポートセンター事業についても、保育の必要性の認定を受けた場合には保育料が無償になります。
「ファミリーサポートセンター事業」について詳しくはこちら(内閣府資料)をご覧ください。
「保育士テキスト2022 (上)」P19をチェックして、蛍光ペンなどでマークしておましょう。子ども・子育て支援新制度についてはP151~153に記載されています。P153のファミリーサポートセンターの記述のところに、「P19参照 」と書いておくと、わかりやすいですよ。P105には、保育の必要性を認めた場合に無償になることが書かれています。
問2-Bの解き方
Bは、「家庭支援専門相談員」に関する問いです。
家庭支援専門相談員は、 児童養護施設 などの児童福祉施設 において設置が義務づけらています。
しかし、Bには「子育て支援の専門職として、保育所に家庭支援専門相談員を配置しなければならない。」とあります。
保育所のところが間違っています。よって間違い「×」です。
家庭支援専門相談員 のポイント
家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー、FSWともいう)は、児童相談所との密接な連携のもと、入所児童の早期家庭復帰、里親委託等を目的として相談・指導を行います。
乳児院や児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設などの児童福祉施設に配置が義務づけられています。
資格要件は社会福祉士、精神保健福祉士、施設において5年以上従事した者または児童福祉司の任用資格を有する者とされています。
ちなみに、児童福祉司は児童相談所に置かれる専門職員です。市区町村長の協力のもと、児童相談所長の指示を受けて、児童の保護や児童の福祉に関する事項について相談に応じ、専門的技術に基づいて必要な指導を行います。
「保育士テキスト2022 (上)」P106の児童相談所のところに、家庭支援専門相談員との関連についてコメントを書いておきましょう。
問2-Cの解き方
Cは「スクールソーシャルワーカー(SSW)」に関する問いです。
スクールソーシャルワーカーとは、児童の日常生活での悩みや学校でのいじめ、家庭内での虐待といった問題に対して、家族や学校の先生、関係機関と連携を取りながら解決のための支援を行います。 主に学校や教育事務所を拠点に、必要に応じて家庭などを訪問しながら子どもたちをサポートします。
日本では、昭和56年に埼玉県所沢市でスクールソーシャルワークを明確に打ち出した取り組みが初めてです。その後、平成20年に文部科学省はスクールソーシャルワーカー活用事業を導入しました。
Cには、「いじめ、不登校、暴力行為などの問題を抱える児童生徒の課題解決を図るため、学校等にスクールソーシャルワーカーの配置が進んでいる。」とあります。
その通りなので、正解「〇」です。
スクールソーシャルワーカーのポイント
スクールソーシャルワーカーと間違えられやすい職業に、スクールカウンセラーがあります。
スクールソーシャルワーカーが家庭や学校、友人、地域社会など、児童・生徒を取り巻く環境への働きかけによって問題の解決を目指すのに対して、スクールカウンセラーは、心の専門家として主に児童・生徒の心の問題を解決するために配置されています。
問2-Dの解き方
Dは「子育て支援員」に関する問いです。
子育て支援員とは、子ども・子育て分野の新たな担い手で、保育士資格が無くても保育の現場に立つことのできる仕事です。
Dには「子育て支援を強化するために、福祉事務所に子育て支援員の配置が進んでいる。」とありますが、福祉事業所のところが間違い「×」です。
子育て支援員のポイント
子育て支援員は、保育人材不足の解消を目的として平成27年(2015年)に「子ども・子育て支援新制度」によって設置された新しい資格です。
保育の人手不足を解消するための保育補助スタッフで、国の政策によって認められました。「子ども・子育て支援新制度」のもと子育て家庭への支援を行い、保育士の負担を減らすことを目的としています。
子育て支援員は、国が定めた研修を受講し「子育て支援員研修修了証明書」の交付を受けることで働くことができます。保育の実務経験や子育ての経験はとくに必要としません。
「保育士テキスト2022 (上)」P16,P155をチェックして、蛍光ペンなどでマークしておましょう。不足している情報は、付箋に書いて貼っておくことも忘れずに!P16の「子ども・子育て支援新制度」のところに、「子育て支援員」を記載しておきましょう。
正解とまとめ
ここまで見たように、
- A ×
- B ×
- C 〇
- D ×
なので、正解は選択肢5です。