H31(前)社会福祉【2019】

【過去問解説】平成31年(前期) 保育士試験〈社会福祉〉問1〈2019〉

【過去問解説】平成31年(前期) 保育士試験〈社会福祉〉問1〈2019〉

平成31年前期 保育士試験 社会福祉の問1の解説です。

社会福祉に関連する法律の概要に関する問題で、記述の正誤を問われています。

記述AからDをみていきましょう。

問題文は全国保育士養成協議会のホームページで無料公開されています。
こちら(全国保育士養成協議会サイト)から閲覧、ダウンロードできます。

「スタディ」では、このブログや動画を見ながら、お持ちのテキスト本に赤線を入れる、コメントを足す、付箋を貼るなどして、自分の使いやすいオリジナル本を作っていくことをおすすめします。ここでは、福祉教科書「保育士完全合格テキスト2022」を用いています。

ブログと連動した動画もご活用ください。

問1-A の解き方

Aは、「生活保護法」に関する質問です。

「生活保護法」は、1946年に制定された「旧生活保護法」を1950年に全面的に改正して作られました。

この法律の目的が書かれた第1条には、「日本国憲法第二十五条の理念に基づき」とあります。

しかし、Aには、「社会福祉法の理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障すること」とあります。

「社会福祉法の理念の部分」の部分が間違い「×」です。

生活保護法のポイント

「生活保護法」の第1条 には、国家責任の原則、第2条には、生活保護は無差別平等であること、第3条には、健康で文化的な最低限度の生活を保障すること、第4条には、保護の補足性の原理が規定されています。

保護の補足性 とは、生活保護はあくまで補足として適用されるものであり、生活困難者は自分でできることは全て行い、それでも自律が難しい場合に初めて保護を適用するという原則です。

生活保護の種類には、(1)生活 (2)教育 (3)住宅 (4)医療 (5)介護 (6)出産(7)生業 (8)葬祭 の8種類の扶助があります。介護と医療は現物給付が原則です。

  • 金銭給付:生活・教育・住宅・出産・生業・葬祭
  • 現物給付:介護・医療(治療費や治療材料は金銭給付)
厚労省資料より引用

「生活保護法」はこちらをご覧ください。

憲法25条のポイント

「生活保護法」 は、憲法25条の国民の生存権に基づき、生活困窮者に対し最低限度の生活を保障するとともに、その自立助長を目的とする法律です。

憲法25条は、(1)すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。(2)国は、すべて の生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。 と規定して います。 これは国民には生存権があり、国家には生活保障の義務があるという趣旨です。

「生活保護法」以外にも、国民年金法、最低賃金法、公営住宅法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法等において、憲法25条を引用し、「健康で文化的な生活」という用語を用いたりしています。

問1-Bの解き方

Bは、「母子及び父子並びに寡婦福祉法」の目的に関する問いです。

第1条の目的には、「母子家庭等及び寡婦(*)の福祉に関する原理を明らかにするとともに、母子家庭等及び寡婦に対し、その生活の安定と向上のために必要な措置を講じ、もつて母子家庭等及び寡婦の福祉を図ることを目的とする。」とありますので、Bの記述通りです。よって正解「〇」です。

ちなみに、寡婦(かふ)とは、夫と死別又は離別し、再婚していない女性、夫のない独身の女性のことです。

「母子及び父子並びに寡婦福祉法」はこちらを参照ください。

母子及び父子並びに寡婦福祉法のポイント

母子及び父子並びに寡婦福祉とは、経済的・社会的に不安定な生活になりがちなひとり親世帯について援助を行い、経済的な自立と、扶養している児童の福祉を増進させるためのものです。

母子・父子自立支援員による母子家庭日常生活支援事業が規定されていたり、寡婦に対する福祉資金の貸付け就業支援事業等の実施自立支援給付金の給付児童扶養手当などの支援も行います。

以前は「母子及び寡婦福祉法」という名称でしたが、2014年の法改正で現在の「母子及び父子並びに寡婦福祉法」に変わりました。第2条の2項父子についても書かれています。改正のポイントは、母子家庭に対する支援の拡充、父子家庭への支援の拡大・拡充です。

「保育士テキスト2022(上)」P27、P28をチェックして、蛍光ペンなどでマークしておましょう。不足している情報は、付箋に書いて貼っておくことも忘れずに!

問1-Cの解き方

Cは「身体障害者福祉法」に関する問いです。

Cには、「身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、 身体障害者を援助し、及び必要に応じて保護し、もつて身体障害者の福祉の増進を図ること」とあります。

「身体障害者福祉法」 の第1条「目的」にある通りなので、正解「〇」です。

第一条 この法律は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)と相まつて、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、及び必要に応じて保護し、もつて身体障害者の福祉の増進を図ることを目的とする。

「身体障害者福祉法」 はこちらをご覧ください。

身体障害者福祉法のポイント

障害のある方に関する法律はいくつかあり、そのなかの身体障害者福祉法は、身体障害者の自立と社会活動への参加を促すものです。身体障害者福祉法に定められた障害に該当し、都道府県知事(または政令指定都市長、中核市市長)から身体障害者手帳の交付を受けると、障害の等級に応じたさまざまなサービスを受けることができます。第4条に規定されています。

第2条では身体障害者の社会活動参加の努力義務、第3条では国や地方公共団体の援助と保護について定めらています。

「保育士テキスト2022 (上)」P32、P33をチェックして、蛍光ペンなどでマークしておましょう。不足している情報は、付箋に書いて貼っておくことも忘れずに!

問1-Dの解き方

「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」はよく精神保健福祉法と呼ばれます。

Dはその第1条「この法律の目的」に関する問いです。

Dにある通り、この法律の目的は、「精神障害者の社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めること」です。 よって、正解「〇」です。

第一条 この法律は、精神障害者の医療及び保護を行い、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)と相まつてその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによつて、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とする。

精神保健福祉保健法はこちらをご覧ください。

精神保健福祉法のポイント

精神障害者の医療と保護、および国民のこころの健康の増進を目的とした法律です。

精神障害者については、障害者総合支援法と連携し、社会で自立して生活していくことを支援するとされています。

ところが、この法律の約三分の一は入院に関する条文で占められています。どうして入院について法律で定める必要があるのでしょうか。

精神障害の症状が重くなると、自分自身や周囲の状況を正確に把握できなくなることがあります。自分が病気であるとの認識が持てなくなり、治療の必要性を説明しても理解できなくなります。そのような場合でも、患者さんが保護され、適切な医療を受けられるように法律で定めているのです。

また、そのような患者さんが医療と保護が必要かどうかを判断する医師が、精神保健指定医です。さらに、その判断や医療が適切に行われているかを審査する精神医療審査会が各都道府県に設置されています。これら精神保健指定医や精神医療審査会についても、精神保健福祉法で定められています

精神科の入院には、精神保健福祉法で任意入院、医療保護入院、措置入院、応急入院の四つの入院形態が定められています。

「保育士テキスト2022 (上)」P33をチェックして、蛍光ペンなどでマークしておましょう。不足している情報は、付箋に書いて貼っておくことも忘れずに!

正解とまとめ

ここまで見たように、

  • A ×
  • B 〇
  • C 〇
  • D 〇

なので、正解は選択肢4です。

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