H31(前)児童家庭福祉【2019】

【過去問解説】平成31年(前期) 保育士試験〈児童家庭福祉〉問5〈2019〉民法820条等

【過去問解説】平成31年(前期) 保育士試験〈児童家庭福祉〉問5〈2019〉民法820条等

平成31年前期 保育士試験 家庭福祉 問5の解説です。

問5は、子どもの親権に関する民法第820条等の記述の問題で、( A )~( D )にあてはまる語句の正しい組み合わせを選びます。

それでは、問題を解いていきましょう。その前に、問題文をお手元にご用意ください。

問題文は全国保育士養成協議会のホームページで無料公開されています。
こちら(全国保育士養成協議会サイト)から閲覧、ダウンロードできます。

「スタディ」では、このブログや動画を見ながら、お持ちのテキスト本に赤線を入れる、コメントを足す、付箋を貼るなどして、自分の使いやすいオリジナル本を作っていくことをおすすめします。ここでは、福祉教科書「保育士完全合格テキスト2022」を用いています。

問5の解き方

問5は、正しい穴埋めができる選択肢を選ぶ問題です。

問題を読んで、解きやすい穴埋めから処理しましょう。

最も判断しやすかったのは(D)でした。「子の( C )をする( D )を有し、義務を負う。」とあります。義務と対になる言葉といえば、権利です。よって、選択肢2と4に絞られます。

選択肢2と4の ( C ) は、どちらも監護及び教育です。

選択肢2と4の( B )をみると、懲戒と利益です。懲戒を文章に入れてみましょう。

「( A )を行う者は、子の( B 懲戒 )のために子の( C  監護及び教育 )をする( D  権利 )を有し、義務を負う。」

これは明らかに間違い。

よって正解は、選択肢4となります。

民法第820条の改正

2011(平成23)年に、児童虐待の防止等を図り、児童の権利利益を擁護する観点から、民法、児童福祉法その他の法律を改正されました。その一つが第820条です。

第820条 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

民法より引用

第820条は、親権者による監護及び教育の権利義務について定めています(監護及び教育の権利義務)。平成23年改正によって「子の利益のために」の部分が追加され、監護及び教育の目的が明確化されました。

民法第818条

民法第818条は親権の主体に関する規定です。

第818条

1 成年に達しない子は、父母の親権に服する。

2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。

3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

民法第821条

第821条は親権者の居所指定権を定めています。 居所指定権は、親権者による監護・教育の実を上げ るために、親権者に認められる権利であるとしています。

第821条

子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。

民法第822条

第822条は、親権者の懲戒権について規定しています。

第820条と同様に、2011年に改正されました。社会問題化している子ども虐待を防止することを目的として行われたものです。

第822条
親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。

改正により、「子の利益のために」という言葉が第820条に挿入され、第820条を引用する第822条において、懲戒権の行使は、子の利益のためになされる監護及び教育に必要な範囲内に限られることが明示されました。

したがって、当該目的ではなく、親権者の恣意により行われた場合は、そもそも懲戒ではなく児童虐待と判断されることもあり、暴行罪、逮捕監禁罪などに問われることがあります。

「保育士テキスト2022 (上)」P18「親権者」をチェックして、民法第820条等を記載しておきましょう。

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